FUJICA GS645W Professional


僕のスナップカメラ。フジのFUJICAブランドは今は消滅してしまったけれど、その末期のカメラになる。645判で120フィルムで15枚撮り、220フィルムで30枚撮り。

見た目が悪いとか質感がチープだとか言われることの多い機種だけど、そんなに酷い見た目だとも思わないんだけどなあ。操作感も巻上げ、ピントリング、絞りレバーなどどれも滑らかだし。

ちなみに蛇腹の75mmレンズ搭載のモデルについてはこちらを見て下さい。蛇腹のモデルも使いやすくておすすめできる機種ですよ。→FUJICA GS645 Professional

付けているフードはhamaの角型フード。これを付けていてもケラレは無い。セミ判で縦位置が通常位置なのでフードも縦に付けている。フードはフード本来の効果よりも過って指を写り込ませないために付けている。被せフードはフィルターを付けないとはめられないのに注意。僕はUVフィルターを付けっぱなしにしているのでこいつの枠に被せフードをはめている。hama角フードの他にはハクバあたりのライカ判28mm用のフードも普通に使える。hama角フードは折り畳めず邪魔だったので最近はハクバのラバーフードを使っている。

この機種の説明書によると、フードを付けていることを前提にしているとのこと。

レンズ表面のすれ傷、汚れは、レンズの鮮明度を著しく劣化させますのでご注意願います。
本機はレンズフードを常用することを原則とし、レンズキャップはレンズフードの内径に取付ける方式を採用しています。(後略)

11頁より

と取扱説明書に書いているくらい。しかしなぜフード装着を前提としているかはよく分からない。実際のところ、フード無しでもゴーストやフレアは発生しにくい。

レンズも綺麗に保っておいて欲しいらしい。上の引用の他に、

2. レンズ清掃の仕方
レンズのすれ傷は皆さまがご想像する以上にシャープネスの劣化につながります。なんとなくコントラストが低下し、しまりのない写真になったら、多分それはレンズのすれ傷が原因です。

31頁より
とも。

にしても距離計のついていないセミ判の割には市場価格が随分高いと思う。

シャッターを切る際の注意は、シャッターボタンを押すと内部で何か部品が飛んでそいつがレンズシャッターを駆動させているようなので、その部品が飛ぶショックによって一般的なレンズシャッター機よりはブレ易いように思われること。またストロークがやや深めなのでそれも注意。距離計の無いセミ判広角の割にはやや大きいこと(比較対象はセミイコンタ)と合わせてここが最大の欠点だと思う。まあレンズがいいし露出計もちゃんとしてるからいいカメラなんだけど。それに一眼レフに比べると十分ブレにくいし。僕はレンジファインダー機なら標準レンズで1/15秒くらいは普通に撮れるんだけどこの機体では広角でもちょっと1/15秒はちょっと怖い。1/30秒以上で撮りたい。

レンズ性能は非常に高性能で、開放でやや周辺光量落ちがあるくらい。隅々まで非常にシャープ。解像力は大体F11より開けてピークが来ると思う。そこより絞ると明らかに解像力が落ちる。開放から安心して使える高性能レンズ。まあ、開放F値がF5.6と中判カメラとしても明るくはなく、開放から高性能であって欲しいもので、開放から高性能というのも当然と言えばそうなのですが。

GS645シリーズの購入後のケアについては上野のアメ横カメラが自信あるよう。中古在庫もたいてい持っている。ちょっと高いけれど調整済みの個体ばかりを売っているので悪くはないと思う。もちろん保証も付いている。GS645Sを安さに釣られて他の店で(もちろん中古)購入したことがあったのだけど、画角は使いやすい印象を受けたしやはり距離計の有り難味を感じてたものの、購入後数週間で不調に。購入したカメラ屋に持ち込むと、それなりに古い機種のため修理できず、返金処理ということでした。アメ横カメラでならGS645シリーズを多く手掛けている修理業者と取引しているそうで、修理してもらえたことでしょう。安さに釣られてはいけないという経験。結局お金は返ってきたので数週間無料で貸与されたような感じだったしその中古カメラ屋を悪く思ってはいないけれど、やはり実用に供したい身としてはちゃんと修理扱いにしてくれるところで買った方が良いと思った。新橋イチカメラでは長岡製作所の製品が得意だったり(何しろご近所だし長岡製作所に直接持ち込むらしい。)、中古カメラ屋ではお店ごとに得意なメーカーや機種があるよう。値札だけを見てはいけないのですね。ちなみに僕はアメ横カメラの回し者ではないw 親切に対応してもらったお店なので良い印象を持ってはいるけれど。

後ろにボヤけて見えているのは標準のGS645。小物に使ったPro400の箱の傷と開封済の箱だったので歪みが気になるけどまあいいや。あとUVフィルターを常用していてこの写真もフィルターを付けたまま撮ったのだけど、フィルターの反射だけ色が変になっている。カメラの顔にあたるレンズ部なだけに気になるが。

わざわざ小物セットして撮ったんだからもうちょっと綺麗に撮れば良かったかなあ。でも光のセットとか始めるともっとめんどいし。。。ブツ撮りは準備で大体決まるんだよなあ。ってスナップカメラの紹介でブツ撮りを極めても仕方ないよね。

Pro400はいいフィルム。感度400で普通な写りで色再現と粒状性も良い。やや軟調より。右に見えているのはSuper G100の箱。まだ辛うじて120フィルムが販売されている。なぜかフジのHPからは完全に消されているけど。感度もISO100で発色も普通によくてコントラストも彩度も普通で粒状性はとてもよくて、というなんとも普通の微粒子フィルムで、そこが良さ。普通に写るってほんと大切なこと。ただちょっと古臭い感じのする写りでもあって、Pro160NS/NCの方がオススメしやすい印象もあり。Super G100と比べると、Pro160NSでは明らかに軟調、Pro160NCではやや硬調といった感じ。色再現はPro160の方が正確だと思う。ちなみに事情があってフジに問い合わせたところ、Super G100は整理対象になっているようで、2009年現在ではまだ販売を続けているものの遠くない将来にはラインナップから消える予定とのこと。

撮ったカメラはNikon D40とAuto Nikkor 55/1.2の組み合わせ。F2.8で。

GS645シリーズとして、GS645: 75mm F3.4, GS645S: 60mm F4, GS645W 45mm F5.6の三機種がラインナップされている。GS645が蛇腹機構もあいまって人気あると思うが、蛇腹に穴が開いていることが多いので要注意だ。整備済み保証付きの個体を買うのがオススメ。GS645Wは距離計が無いことなどからあまり売れなかったようだ。しかしその分市場に出る数が少なく現在はこの三姉妹の中では高めの値段で取引されている。GS645Sがもっとも安くコンディションの心配も少なく手に入れることができると思う。まあどの機種を選ぶとしてもその性能から言ってお買い得感のある買い物になると思う。ちなみに本体サイズは折り畳めるGS645が一番小さくなり、また展開すると一番大きくなる。GS645Wは焦点距離が短いだけありレンズも短く折り畳めない割にコンパクト。GS645Sが一番かさばる。重量はGS645: 820g, GS645S: 766g, GS645W: 680gとGS645Wが軽い。距離計を搭載しない分でしょう。

ちなみに自動化を推し進めたGA645シリーズというのがこのGS645シリーズの後に作られるが、GA645シリーズは使ったことはないのでノーコメント。45mmのものに限ると開放F値がGA645WではF4になって一段明るく、レンズの構成枚数も増えているのでさらに高性能らしい。GS645Wでも開放で若干の周辺光量落ちが見られるだけで素晴らしいレンズだと思っているけれど。

視度補正レンズは純正のものは用意されておらず、適合する市販品を使うことになる。取扱説明書でもそのように指示している。取扱説明書によると径19mm, P=0.75mmのネジになる。
NikonのFM系用の視度補正レンズがそのまま使えるのでこれを使うのがもっとも手軽だと思う。僕もNikon FM系用のものを使っている。ちなみに僕は眼鏡使用者ですが、アイポイントの問題は感じません。ただしNikon FM系用の視度補正レンズは金属なので眼鏡を傷付けそうなので、ゴム塗料を塗布しておきました。コシナツァイスのツァイスイコン用の視度補正レンズがそのまま使えますし、こちらはラバーを当ててあるので眼鏡使用者はこちらを使うのが良いでしょう。

良い点

  • レンズは非常に高性能
  • 巻き上げ機構はコマ間が良く揃っていて信頼できる
  • フィルムの装填は簡単
  • 露出計は正確で、ポジ撮りにも使える
  • レンズ交換式のセミ判カメラと比べるととても小さく軽い

悪い点

  • ボディの基本設計は蛇腹GS645のものをそのまま流用したためか、距離計無しレンズ交換なしの広角セミ判カメラなのだからもう少し小さくできたのではないかと思える
  • シャッター駆動が独特なためにブレに注意(一眼レフと比べるととてもブレにくいのだけれど)
  • シャッターにBが無い。Tも独特の操作が必要になる。
  • 縦位置用の三脚穴しかついていない(GS645Sには横位置用、縦位置用の両方の三脚穴が付いている)

概して若干気になるところはあるものの、比較的小柄でとても使いやすいセミ判広角カメラだと思う。他に代わるようなカメラも無いし。

GS645W作例

Fuji Pro400

Fuji Provia100F

FUJI Provia100F
ポジも内蔵露出計だけで合わせて撮った。もちろん空をカットして露出を決めたりなどはしたけど。ほとんど原板どおりに読み込んだ。ここに出しているカットの他もどれも問題無く露出を決められている。内蔵露出計だけでポジ撮りも十分に対応できる。読み込み後のシャープネス強調処理などはいっさいしていない。この処理をして見た目上のシャープネスを上げてレンズ性能を良さそうに見せるのが流行っているけど画像そのものは劣化していると思う。いずれもUVフィルターを装着。

FUJICA GS645W 緒元

  • [形式] セミ判(56mm×42.5mm)レンズシャッターカメラ
  • [使用フィルム] 120(15EXP), 220(30EXP)フィルム使用
  • [レンズ]EBCフジノン 45mm F5.6 5群6枚 フィルター径49mmを固定
  • [シャッター] コパル #00 メカニカル X接点、セルフタイマー付、セルフコッキング式
  • [ファインダー] 逆ガリレオ式ファインダー、ブライトフレーム付
  • [距離合わせ] 撮影距離1m~∞、距離計なし、目測ピント合わせ、2mと5mでクリックストップ。赤外線補正マーク有。
  • [巻上] 一回巻上げ、二重巻上げ防止機構付
  • [外形] w147×H114×L76mm
  • [露出制御]ファインダー内にGPD露出計、電源LR44×2個。+-で適正露出を表示。シャッターボタン半押しで作動。○印のみ点灯で適正、○と+(-)が同時点灯で1/3から1段オーバー(アンダー)、+(-)のみ点灯で1段以上オーバー(アンダー)
  • [質量] 680g (電池含まず)
  • [付属品] ソフトケース、レンズフード、ストラップ
  • [別売りアクセ] ストロボブラケット
  • [その他] 電池無しで撮影可能、露出計のみ電池必要