写真家の資質

一時は大学をやめて写真家を目指そうかとも思った。でも撮っていて気付いたことがあって断念した。僕は人を撮ろうと思えない。人とコミュニケーションしたくない。それでは写真家はつとまらない。写真家となるというのはコマーシャルの世界に生きることだけど、そのためには決定的に資質が無いと思った。コマーシャルの世界というのはディレクターやアーチストと打ち合わせしながら共同作業をしなければならない。そんなことは僕にはできない。かと言って、作品を売って生計を立てるなんて途方も無いことだし、それ以上に僕はいわゆる写真作家として生計を立てている人たちがあまり好きではない。仕事と作品とは分けられるべきものだと思う。僕が好きな写真は大抵、本来はコマーシャルの人が自分のお金を使って撮ったもの。本業のコマーシャルがあるからこそ自分自身の意欲から撮った作品として撮るものは鑑賞者へのサービス無しに作れるのだと思う。