短い平和

今やあまり人気の無いショートピース。しかし美味いです。甘みが強いけれど芯のある吸い応え。香りも凄くよい。火を点ける前は甘い甘いレーズンのような香りがします。実際に吸うとちょっとヤニが強いのが気になりますが。
最近人気の軽いタバコを何本も吸うような、何か他のことをやりながら口元の寂しさを紛らわすために吸うようなものではなく、腰を落ち着けて味わうタバコ。普通のフィルター付みたいに乱暴に吸わずにじっくりと味わって吸うと最高です。
まさに嗜好品としてたくさん吸わないで少しだけの本数をのんびり味わうタバコです。肺に入れずにふかしでも十分味わえる。僕は肺までしっかり入れていますが。両切りタバコなので口に葉っぱが入りやすいのでそっと吸うものです。フィルター付に慣れた人がぐわっと一気に吸い込むと確実に葉っぱが口に入ると思います。ノンフィルターのずっしり来る感じと相俟ってのんびりやることを求められる銘柄です。
パッケージも紺地に金文字のクラムシェルでカッコイイと思う。
両切りだし煙も強いしヤニも強めだしと今はあまり受けないだろう銘柄ですが、根強い愛好家がいるのもよく分かるものです。僕は牛乳とあわせてやるのが最近のお気に入りです。香りが強いのでそれを吸収して持って行ってくれる牛乳でいったん口をリセットしてまた味わうというのをやります。飲み物を合わせると唇を濡らしてしまうので葉っぱが口に入りやすくなるのが難点ですが。
軽く葉っぱを寄せて、吸い口も軽く押さえてあまり深く咥えずに吸うといい塩梅。
軽くフィルター付のも欲しくてホープライトも試しましたが最近の喫味変更で元来のホープとは随分違う味になってしまいました。新しいショートホープライトは個人的にはちょっと無しです。ショートピースとショートホープで僕の銘柄探索の旅は終わりそうです。自宅でのんびりやる時はショートピース、外で一息つく時はショートホープ。個人的にはショートホープライトの喫味変更は残念でした。軽め(と言ってもタール9mg、ニコチン0.8mg)だけれどじっくり味わえる銘柄という貴重な存在だったんですが。これも時代の流れでしょうか。
スーパー25やショットガンなどのパイプも試しましたが風味が変わるので結局素のまま楽しんでいます。
僕はせいぜい一日に2,3本程度しかやらないタイプなので、味も香りも豊かな重いタバコをゆっくりと味わうのが大好きです。別にタバコが切れてもイライラしたりしないし何日も吸わなくても平気。でもタバコを味わう至福の時が好きなので仕事の合間の一休憩で、一仕事終えた一服付くときに、一日の締めに寝る前に、一本やったりします。こういうタイプの愛煙家はあまり一般的ではないですね。この喫煙スタイルが僕の銘柄の好みにもよく現れていると思います。イライラしている人の多そうな世の中、イライラを紛らわすために何本も口に運ぶ人が多いし、タバコメーカーとしては軽いのをガンガン吸ってもらった方が儲かるでしょうし、ショートピースやショートホープみたいなのんびり味わうタバコは時代遅れなのでしょう。まあ、所詮は紙巻ですしね。じっくり味わうなら手軽さが身上の紙巻をやるものでもないのかもしれません。
写真も時代遅れのフィルムでやっているし、仕事も時代遅れの手法にしがみつくようにやっていますし、まあ、古い人間なのでしょうね。20代なんですが。
写真のシリーズでタバコをやろうと思う今日この頃。禁煙まっしぐらの世の中だからこそ。どういう風にやろうか構想を練っているところです。
他人に喫煙を勧める気は無いけれど。身体に悪いみたいだし。

ポケットの中のデザイン史 日本のたばこデザイン1945-2009

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