コシナ製カールツァイスのビューファインダー

多分、もっとも良い外付けファインダーがこのコシナ製カールツァイスのファインダーです。明るくクリアで歪みの少ない見え味、悪条件下でもハレ・ハロの無さ、高めの倍率、視度補正可、眼鏡を掛けていても隅まで見えるアイポイントの高さと良いことづくめです。
視度補正は接眼部のレンズを外して別売りの視度補正レンズに交換するだけです。コシナ製のベッサ・ツァイスイコン用の物が使えます。なお同じネジになっているのでニコンFM用や富士フイルム X-Pro1用も使えるはずです。視度補正に関しては無頓着な人も多いのですが、裸眼で生活していても少し補正を入れた方がクリアに見えたという人も多いものですので、私と違って視度に大きく問題を抱えていない人でも、視度補正に対応しているビューファインダーだということは大きなメリットになりえます。なお、下に示した仕様にあるように、このビューファインダーはいずれもマイナス側に標準の視度が設定されています。遠視・老眼気味の人はオプションの視度補正レンズを使う方がこのビューファインダーの真価を味わえるでしょう。ただし、この視度補正レンズでは1D刻みの選択となっていてやや大雑把なのは残念です。ライカなら0.5D刻みとなっていてより自分に合ったものを選べるのですが。
欠点は少し大きなことがありますが、ライカのファインダーでもこれくらいの大きさのものはありますのでさほど問題にはならないでしょう。ラインナップが15mm、18mm、21mm、25/28mmの4種類であって、人気のある35mmには対応しないのと、こちらも人気のある28mmには専用になっていないことも残念ではあります。またさらに問題としては18mmは実は15mmとまったく同じ光学系で、当然倍率も同じままでフレームとマスクだけで18mmとしているのは残念です。これなら25/28mm用と同じく15/18mm用として二種類のフレームを内蔵した方が良かったのではないかという気もします。ただしこの方式だとどちらの焦点距離のレンズを使う時にも不要なフレームが見えて邪魔だと思われたかもしれません。
さらに欠点としては、見た目や気持ちの問題ではあるのですが、大きな対物レンズと大きなツァイスロゴのせいで存在感が大き過ぎると思えます。アクセサリーでしかないビューファインダーがここまでの存在感を持ってしまうのはカメラのスタイルを損なうと感じる人もいると思います。このビューファインダーを単体で見ると各所の仕上げも良く、美しいビューファインダーなのですがそれが却って仇になっているようにも思われます。これは好き好きのところではありますが。
他にソニーサイバーショットRX1用として製作されているものがありますので、コシナ製カールツァイスの35mmファインダーが欲しいという人はこちらを求めるとよいでしょう。
事実上、15mm、21mm、25/28mm用の3種類がラインナップされていると考えられます。一応はこれだけあれば十分だとは思えます。外付けファインダーは何かと活用できるので私はコシナ製カールツァイスファインダーはRX1用のものを除いて4種類すべて持っています。28mmについては多くのカメラで内蔵フレームで対応しますし0.58倍では内蔵フレームに対して倍率でも特に有利なわけではありませんので、不要とも考えることはできますが15mm、21mmと同じような見え味でフレーミングできるのは撮影時のイメージ合わせに便利なのでやはり買いました。
このコシナ製カールツァイスのファインダーはアクセサリーシューへの取り付ける下駄の部分が少し薄いようです。私はナイロンテープを貼り付けて厚みを増させてしっかりと取り付けるようにしています。このように柔らかい素材で厚みを出した方が無理無くしっかりと取り付けられるのでかえって良かったと思うようにしています。
外付けファインダーというのは地味なアクセサリーです。前世紀前半から大きな革新も無いのが外付けのビューファインダーです。*1 コシナ製カールツァイスビューファインダーも3万から4万円とライカのものと比較すれば安いとはいえ、もっと安価な製品も同じコシナからフォクトレンダーブランドで供給されていますしそちらも非常に良いものです。さらに下のランクのものでも撮影には困らないでしょう。しかし撮影者にとって写真に写す世界を覗くためのインターフェイスでもあるので少しこだわってみるのも良いのではないでしょうか。