テッサー構成(Schneider Kreuznach Comparon 4.5/105のレビュー)

色々レンズを持っていながらこれまでテッサー構成のレンズを持ったことは無かった。なんとなくいまさら3群4枚なんてという印象があったからだ。標準域の焦点距離では高性能なオルソメターやダブルガウスが少しがんばれば買えるのにわざわざテッサーなんてということだ。少ない構成枚数でも高性能のものは手に入ることは分かっているが、全て高性能というわけでもないし、いちいちテストして使い続けるかどうか考えるよりも最初から評価の定まった高級レンズだけを買っていれば楽もできるし。機材は味とかはあんまり考えなくて、高コントラストでシャープな現代レンズが好き。建物を撮ることも多く歪曲は大嫌いなので対称構成にしておけばひとまず安心というのもあった。

しかし今回、拡大撮影専用でかつ焦点距離の短いレンズを探していてComparonにシャッターを組み込んだタイプが1万円を切った価格でeBayで売られていた。最初はCompononだと思い込んでウォッチリストに入れたもののComparonだと気付いて興味が大きく減衰した。が、半ば間違えて注文してしまった。まあ安いし良しとしよう。というかこの価格ならシャッターだけを買ったと思っても問題ない。

シュナイダーのレンズはシリアルナンバーで年代が分かるが、13 4** ***なので1978~1979年の製品らしい。Comparonは本来は引き伸ばしレンズである。当時のシュナイダーの引き伸ばしレンズ*1では4群6枚オルソメターのComponon-Sまたは4群6枚ダブルガウスのCompononがメインなシリーズ、トリプレットのComponarが低廉なシリーズになるが、Comparonはその中間のものである。2~6倍の引き伸ばしに最適化したものであるので、撮影に用いると1/2~1/6倍に最適化したものとなる。構成は3群4枚テッサータイプ。

届いたので試写してみた。普通にシャープで良いレンズ。古いものだしレンズの色からしたらシングルコートに思われるが、色も悪くない。テッサータイプへの偏見を申し訳なく思う。でもやっぱり近接撮影用なのに絞りによる焦点移動のあるテッサータイプってのはどうなんだろうかという思いも少しあったり。ピングラ上で確認した限りでは確認できなかったけれど。

<追記>Comparon 4.5/75も作例をアップしてあるのでよろしければどうぞ。こちらもテッサーです。広角よりのテッサーなので周辺に向けて像の流れが現れています。

Schneider Kreuznach, Comparon 4.5/105作例


オリジナルサイズの等倍表示では微妙に甘さが見えるが主にスキャナ由来と思われる。色収差はたしかに微かに確認できる。しかしシャープなレンズである。たった4枚でこれだけのレンズを設計したルドルフは偉大だ。

*1:ちなみに今はComponar-SがテッサータイプだがComparonと同じものかどうかは知らない。Apo Componon HMはオルソメターを絞りを挟んだ二枚を貼り合わせに変更したものに見えるがこれも詳しくは知らない。