上田義彦個展 "QUINAULT"

NADiffの2階でやっている個展。

上田義彦個展『QUINAULT』開催のお知らせ

G/P gallery は昨年7月、上田義彦の個展『骨と石器』でオープンしました。それ以降も、上田義彦の作品を、イギリスのマイケル・ホッペンギャラリーとの協働のもと、 Paris Photo、photo miami などで、精力的に世界に紹介してきました。そして今回、上田義彦が1990 年代初頭に撮った名作『QUINAULT』が、上田義彦自身のセレクトによる7点の「ニューエディション」として、ここに登場します。アメリカ・インディアンにより「QUINAULT」と名づけられた森を撮影したこの美しいシリーズは、写真集化され、今も国内外で高い評価を得ており、コレクターたちからもニューエディションが待望されていました。珠宝とも言えるこのシリーズを御披露目させていただきますので、ぜひ御高覧たまわればと思います。会期中、上田義彦によるトークショーも予定しております。

上田義彦は本年11 月のParis Photo2009 においても、G/Pgallery より出展し、『QUINAULT』を発表する予定です。


  【上田義彦個展『QUINAULT』開催概要 】

期間:2009 年5 月23 日 (土) - 6 月21 日 (日) 12:00 - 20:00 月曜定休 
場所:G/P gallery

G/P gallery

たった7枚。これを見るためだけに恵比寿まで行ってきた。

細部までひたすらに細かく描写されている。風景写真ではなく、森に沈み込んで撮っている。ただそこにある木に、苔に、草に、忠実に写し撮っている。被写体に没入し、作家なんかどこかに吹き飛んでしまっている。構図には中心はなくて、全体が森に支配されている。

印象的なのは森で上を見上げるような構図は無くて正面に正対して写る範囲だけを撮っていること。森に呑み込まれている。空を拒否している。

それにしても「自然を守れ」みたいなメッセージを含んだ写真にならずにただ美しさだけに追い立てられた写真で、気持ち良い。

ギャラリーの人に聞いたところ、とんでもない色をしているが、どうやら焼きで出した色ではなく、そういう色の被写体だと上田本人が語っているとのこと。やはりギャラリーの人もこの色に一種驚きを覚えて尋ねたそうだ。また8×10で撮っているが焼きは上田自身によるものだそうだ。このようなファインプリントを作るひとの御用達のラボがあって、たいていはそこに依頼するが、この"QUINAULT"はそうではない。撮影では光の具合で色が変わるので、別の時に撮ると同じところでも同じ写真にはならないとのこと。額装も上田本人の希望によって白木で作った額でなされている。

また写真集"QUINAULT"の再再刊も決まっているそうだ。出たら必ず買おう。

プリントは50~80万円程度で売るとのこと。エディションもさほど多くはない。まだ残っているそうで欲しい方はどうぞ。十分に買う価値はあると思いますが、僕の経済力では買えません。

<追記>写真集"QUINAULT"を8月19日に買いました。青幻舎のウェブサイトから直販できます。Amazonではまだ購入できるステイタスになっていません。青幻舎に注文すると結構早く届きました。青幻舎のQUINAULT販売ページ。
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