プリントのサイズについて

デジタル写真の大きな恩恵の一つは、大伸ばしが比較的気軽にできるようになったことだと思う。

そのおかげもあって、それ以前から進んでいたことではあったけれど、写真プリントのサイズは大型化しているように思う。以前は大四つ切くらいで展示するのが普通だったのにいまや半切や全紙は当然のように展示され、それ以上のサイズを見ることも少なくない。

多分、テレビやパソコンのディスプレイが大型化しているのと合わせて、これまでのようなサイズでは「押し」が足りなくなっているんだろう。弱いドラッグから始めてより強いドラッグに手を染めていくようなものかもしれない。

でも大きくプリントすることはインパクトはあってもそれ以上の何かを与えるものなんだろうか。

たしかに大きなプリントを作るためには撮影からプリントの仕上げまで常に注意をしなければならないし、技術を示すことはできると思う。技術の確かさは必要なことだと思うし、それ自体は問題を感じない。でもプログロックと呼ばれる分野が超絶技法を示すための手段として音楽を利用したように、一つの袋小路に追い込まれていくものでしかないと思う。
(まあ、写真なんてそれ自体一つの袋小路だし、そこで意味や目的が宙吊りにされてしまうことはむしろ望むところでもあるのだけれど。)

僕は写真のサイズは11×14=大四つ切だと思っている。そのプリントが基本にあってそれより大きくしたり小さくしたりを選ぶ。

でかければいいというような考えは安易だし、まあ、常に安易なのが写真なんだけど、だからってそこまで安易になっていいものか疑問が残る。陳腐になってはならない。でかいものが勝ちならばビルの壁面を覆うコマーシャル写真が最高だ。僕はコマーシャル写真はそれはそれで好きだけどそれだけが写真になることは拒否したい。