所幸則 ”PARADOX” 於Gallery 21

http://www.gallery21-tokyo.com/jp/exhibitions/2010/yukinoritokoro/index.html
正直に言って、Gallery 21のサイトでピックアップされている何点かの写真をウェブで見て、私はこの人の写真は好きじゃないかもしれないと思いました。いわゆる街撮りなんですが、少し作り込み過ぎているように思ったからです。
それでも何か引っ掛かるものがあったので見に行きました。
で、見に行って良かったと思いました。ちょうどギャラリストの人と所さんがいる時を選んで行ったのですが、実はギャラリストの人も最初見て「ダメかな」と思ったそうです。しかし見ていくうちに「やっぱり写真している」と思うようになったそうです。
色々と凝ったことをやりながらもその凝ったことを超えて写ってしまうのを作品の中に取り込んで昇華しているからです。私もそう思いました。綿密に計画して撮影に臨んだのにそれを掻き乱す何かが写り込んでしまう、そしてそのノイズもまた作品を高めるものとして取り込んでしまうこと、そこが写真らしいと思いました。
トークもあったのですが、展示に際しての諸言にあることが主でした。
ちなみにすべてデジタルカメラでの撮影です。DP1で撮ったものもあるそうです。私がDP2をぶら下げていたら所さんに、「それ、DP?」と尋ねられました。最近はA900を使っているそうですが、DP1xが出たらまたDP1xを使ってみようかなと思っているそうです。DP2ユーザーの私としては、DP1/2で撮ったものと他のカメラで撮ったものとを混ぜるとDP1/2の写真が浮いてしまうのではないかと思い、そのことを尋ねたのですが、たしかに普通にやるとそのとおりだけど、その辺はデジタル現像処理で何とでもなると言っていました。私にはそんな技術はありません。私はDP1で撮ったものがどれかを教えてもらいましたが、それは実物のプリントを見て確認してみて下さい。A900と混ぜられてもまず分からないと思いますが、探してみるのも楽しいと思います。DPを使っている人は、これだけのクォリティの展示をすることもできるカメラを使っているということで、自分の機材には自信を持ってよいと思います。もちろん所さんほどの力があるからこそではあるのですが。
私の持っていたDP2でちょっと話になったので、機材のお話を少しさせてもらいました。デジタルかフィルムかという対立についても少し話しました。*1正直、フィルムの将来は暗いかもしれないですね、ということで一致しました。*2
デジタルプリントですが、非常にハイクォリティです。もともとモノクロプリントをこだわってやっていた人なだけに、デジタルでも高度な処理をできるようです。*3

*1:個人的にはデジカメでもAPS-Cサイズの素子ならライカ判は置き換えるだけの写りになっていると思います。ライカ判フルサイズの素子であれば645判には現状及ばないながら今後の発展次第ではライカ判フルサイズにも645判のアドバンテージは無くなると思います。個人的にはPhase Oneが欲しいのですが、高くて買えていません。瀬戸正人のbinranはPhase Oneで撮ったものだそうです。これはフィルムよりもデジカメの方が高感度が得られることからの選択だそうです。

*2:将来が暗いのならフィルムで当面撮っていこうとの思いを強めました。私は仕事として写真をやっているわけではないので沈む船に最後まで乗り続けてみるのも一興だと思います。

*3:私もフィルムで撮っているのですが、実はデジタルプリントはラムダはもちろん、フロンティアでもよく管理されている機械でプリントしたものは満足行く出来上がりだと思っています。