Voigtlander Heliar 50mm F3.5 L 101 Aniversary Edition

沈胴の50mmです。鏡胴に凸-凹-凸3群5枚のヘリアーの構成図が彫り込んであります。トリプレットの前群と後群をそれぞれ貼り合わせにしたヘリアーですが、この構成図は美しく、鏡胴に彫り込んでしまいたくなる気持ちは分かります。こういう洒落っ気は嫌いじゃありません。レンズ構成図で魅せるというのはクラシックな対称型レンズの特権でしょう。
写りはとても普通な印象です。よく写り、このレンズで撮ったことを意識しないで済む。好ましい描写特性だと思います。フルサイズ2400万画素デジタルカメラでは十分な性能はあると思います。ただし、中から近距離では歪曲収差が見受けられます。対称型であっても近距離に合わせるために繰り出すと歪曲が出てくるものですが、50mmにしては少し大きめの歪曲かなと思います。また、開放近くのF4.7以下では周辺に本当にごくわずかに流れが見えます。本当に仔細に検討して分かる程度です。プリントにするとまず分からないと思います。α7との組み合わせで発生する流れなのかどうかまではわかりません。ライカM9やtyp240などではどうなるのか分かりません。取り回しについては沈胴もしてとても小さくなる常用に向く小型の標準レンズです。ピントの操作がレバーでの回転、絞りの操作が幅が狭く動きも軽い絞りリングの回転であり少し慣れが要ると思います。絞りリングの動きがとても軽いのは、ピントリングの誤回転を防ぐためと思われます。絞りの操作に関してはフードを付けてそこを指で回すようになっていると思います。半段ごとにクリックがあるので開放F3.5からどれだけ回したかで絞り値が分かります。ピントも絞りも回転方向はライカ流です。
僕はソニーα7のレンズとして常用しています。α7では沈胴できます。万が一壊した際には自己責任でお願いしますが。