石元泰博個展 "色とかたち"

石元泰博 作品展「色とかたち」

2009年6月16日(火)−6月30日(火)

石元泰博氏は日本を代表する写真家であり、世界的に著名な写真家です。石元氏が半世紀を越えてこれまでに撮影してきた作品は多岐にわたりますが、なかでも、カラーの多重露光のシリーズはライフワークとして、半世紀にわたり毎年冬になると制作されてきました。これらの作品の一部は写真集「めぐりあう色とかたち」として昨年発刊され、カラーの多重露光の作品を初めて目にした方も多いことと思います。

カラーの多重露光の作品は、ロールフィルムを入れた6x6のカメラで葉を落とした樹木や建造物のシルエットを撮影し、そこに色を重ね合わせて作られています。1973年から竹中工務店の季刊PR誌『approach』の表紙を飾ってきました。いくつかのポジからプリント上に合成した画像ではなく、フィルムのひとつのコマに何度か露光することで、作者も思いも寄らない色とかたちが浮かび上がってきます。「暗室で操作して作り出すのとは違い、多分に偶然が作用するが、そこが写真の面白さだと思っている。」と氏は語ります。あくまでも写真にこだわりながらも、出来上がった作品は写真の世界を超えて、モダンアートの極みとなっています。天からの贈り物のような色鮮やかな、まばゆいばかりの色とかたち。偶然ともいえる出会いが、石元氏の遊び心をも反映しています。これらの作品は、「調和のとれた美」の作品を世に生み出してきた石元氏の、他に類を見ないきわめてユニークな作品といえるでしょう。

今回の展示は、高知県立美術館のご協力を得て、氏のライフワークであるカラーの多重露光の作品から50余点を展示いたします。石元氏の「美の世界」を感じることのできる展覧会です。

P.G.I.でやっている。
http://www.pgi.ac/index2.php?option=com_content&task=view&id=230&pop=1&page=0&Itemid=1
https://www.pgi.ac/cart/product/p-741.html
石元は物凄く器用で優れた作家だ。色んな被写体を色んな風に撮ることができる。ギャラリーには"シブヤ、シブヤ"など彼の他の写真集もあったが、様々な写真を撮っていた。コマーシャルもやる人だからそっちも優れた仕事を残している。
きっと彼の器用さゆえに普通の写真では物足りなくなってこういう作品をやりたくなったんだろう。
ギャラリーの緒言では石元の他の作品とは異なるシリーズであるかのように書いているけれど、そんなことはないと思う。石元は常に形にこだわって写真をやっていると思うし、写るということを楽しんでいると思う。それを純化していこうとするとこのようなシリーズになっただけで、彼の中である特別な地位を占めるだろうけれど特殊なものではない。
驚異的なのは印画紙を塗ったりはせずにフィルターワークと多重露光だけでこのシリーズを作ったらしいこと。
気持ちよいのは、都市がどうこうとかそんなことを言わずに色と形にだけこだわって作品を作っていること。「都市は魔物である。私は、すぐ傍にあるのに知られざる都市の有機的で官能的な側面を取り出すためにこのような作品を撮ったのだ。」とかなんとか、自分を神か何かと勘違いしたかのようなことを語り出したくなるものなんだけど、そういう誘惑とは無縁なところで写真をやっている。
現代アートよりな作品だけれどやはり写真家の仕事なんだと思った。
写真は撮ることしかできないし、撮ったはずのものが写っていないものだし、撮ったつもりもないものが写っていたりする。写真は常に作家を超えていく。自分自身を飛び超えて自分に帰ってくるようなもの、力強く支配者たる存在でありながら喜んで自分を偶然のさなかへと差し出そうとするもの、それが作家だ。

http://fotonoma.jp/photographer/2004_03ishimoto/index.html